1.やる気がおこらないが、やってみると意外とできた
現在、私は双極性障害Ⅱ型(気分障害)の療養中ということもあり、家事をしないといけないが元気がでなくできない。また、買い物に出かけないといけないが出来ないという毎日が続いています。そんな中、私がしているバイトは派遣の看護師で、万が一休むならば代わりの人をみつけるという契約があるので休めずにいます。辛くても、這って職場に行っている状態でした。
そして、気が付いたのが、もう働けないと思う程辛くても、職場に行ったらなんとか仕事がすすみ、身体の調子が良くなってくるという不思議体験です。
これを双極性障害の患者会で話したら、皆も同じことがあると言うのです。そして、やり始めて徐々に体調が良くなる時と、本当にダメな時の判断が難しいとの意見も聞かれました。
これを、主治医に話したところ「作業興奮」であるとの説明をうけました。
2.作業興奮とは
作業興奮は、ドイツの精神科医エミール・クレペリン(Emil Kraepelin)によって提唱された概念だと言われています。しかし、クレペリンが本当に「作業興奮」という言葉を使っていたかは現在疑問視されているようです。ただ、内田クレペリン精神作業検査(個人の人格や適性を測定する心理検査)で有名な内田勇三郎先生が「作業興奮」という言葉を使い始めたのではないかとも言われています。
作業興奮とは、一般的には「やる気がない状態だが、いったん行動するとやる気がでてくる」というものです。これは、私が職場に行けないくらい気分が悪くて、泣く泣く行ったが、職場で仕事を始めるとなんとか仕事ができたというあの経験です。
3.やる気のメカニズム
では、作業興奮のメカニズを説明したいと思います。
2.側坐核から神経伝達物質のドーパミンが放出されます
3.そのドーパミンにより、
1) 幸せな気持ちにさせて意欲につながる
2) 集中力がアップし効率が良くなる
3) ポシティブになる
このドーパミンの効果が得られ、結果、私の気分も回復し、仕事も集中できるようになったと考えられます。
4.日常生活でドーパミンを増やすには
作業興奮以外にもドーパミンを増やすと報告されているのが、
1.好きな音楽を聴きながら作業を行う
2009年の米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」(電子版)にカナダ・マギル大学(McGill University)の研究チームが「好みの音楽はドーパミン生成を促進させる」という論文が発表されました。
この研究で、好きな音楽を聴いてワクワクしているとき、被験者の身体活動は活発化し、脳内の線条体からドーパミンが分泌されることが分かりました。この反応は、好きな音楽を聴く前の期待感だけでも起こることも確認された。一方、聴いても気分が盛り上がらない特に好きではない音楽を聴いた場合には、ドーパミンの分泌の活性化は見られませんでした。
研究チームはさらに、脳内のどの部分が活性化するかを調べるたところ、好きな音楽を聴くことを期待している段階では、脳の「尾状核」と呼ばれる部分が活性化したが、実際に音楽を聴いて興奮状態となると、今度は「側坐核」という部分が活性化することが分かりました。
今後、私は好きな音楽をかけながら家事を行いたいと思います。
2.ドーパミン生成に必要な栄養素の摂取
ドーパミンを生成するためには「チロシン」や「フェニルアラニン」といった栄養素が必要です。また、チロシンやフェニルアラニンはL-ドーパに変換されて、最終的にドーパミンが合成されます。そのL-ドーパからドーパミン合成するとき必要になるのがビタミンB6です。そのため、ビタミンB6が不足してしまうとチロシンを大量に摂取してもドーパミンは増えないので注意しましょう。
1)チロシンが多い食べ物には
- 大豆製品(大豆、きな粉)
- 豆類(ピーナッツ、カシューナッツ、アーモンド)
- 魚介類(マグロ、かつお、しらす、タラなど)
- 魚卵(すじこ、たらこ)
- 肉類
- チーズ類
2)フェニルアラニンが多い食べ物には
- 小麦たんぱく(グルテン、パン、パスタ)
- 大豆製品(きな粉、大豆)
- あんこ、あずき
- ゼラチン
- チーズ
- ピーナッツ
- レバー
3)ビタミンB6が多い食べ物
- にんにく・ガーリックパウダー
- ハーブ類(バジル、パセリ)
- マグロ
- 鶏肉
- 黒糖
ドーパミンを意識して、日頃口にするものにも、少し心を配ると良いですね。
3.瞑想を行う
平成かぐらクリニックの院長伊藤直先生によると、瞑想行うとドーパミンが放出されるとおっしゃっておられます。また、医学博士の有田秀穂氏の『仏教と脳科学』では瞑想とセロトニンの関係を研究をされ脳内物質ホルモンのバランスが整うという研究もあるようです。どちらにしろ、脳内物質ホルモンのバランスが瞑想で整えられるのではないかと思われます。この点はまた、整理してまとめていきたいと思います。
5.結論
気分障害で何もしたくないことがあります。そんな時は、少しだけ動いてみるつもりで行動をおこしてみては如何でしょうか。
例えば、
- 5分だけ好きな音楽を聴きながら食器を洗ってみる
- 5分だけyoutubeを観ながらテーブルの上を片付ける
- 掃除と思うとつらいので、一か所だけまずは掃除してみる
- 風呂に入って身体を洗うのが辛いなら、とりあえず湯舟だけつかってみる等
そして、5分やっても10分やっても辛いのが変わらないならば、一度ゆっくりしましょう。その時、できなくても夜にはできるかもしれないし、明日になれば出来るかもしれません。気長に療養していきましょう。
ということで、今日はこの辺で終わりにします。
このブログが貴方の療養生活にとって少しでもお役に立てればと願っています。
参考
1.医療社団法人 平成医会 精神科医 伊藤 直:ドーパミンを増やすことで得られるメリット
2.takuma:作業興奮に対する誤解について|takuma|note
3.赤塚啓紀:作業興奮とは何か?作業興奮に関する誤解ややる気を出すポイントを解説 (study-labo.com)
4.久賀谷 亮(精神科医):医学博士が語る「瞑想」の驚くべき効果。オススメのやり方や時間について教えてもらった。
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